市場のコンセンサス 2010 7 10
クレディ・スイス証券チーフエコノミストの白川氏は、
週刊エコノミスト2010年7月6日号で、このように書いています。
「日本は、ドイツと同様、経常収支黒字国である。
国内総生産(GDP)比10%の財政赤字を、
GDP比13%以上の民間貯蓄でファイナンスし、
GDP比3%以上のお釣りがきている。
このような消費不足、投資不足の経済で、
財政を引き締めたら、何が起こるか。
内需がますます落ち込んで経常黒字が拡大し、
その結果、さらに円高になるだけである。
そして、円高が進めば、輸入価格が低下し、
デフレ圧力が高まることになる。
国債を買わずして、何を買うのか、
というのが市場のコンセンサスになるだろう」
将来はともかく、現時点では、
白川氏の考え方が、妥当だと思います。
このような主張からすると、
白川氏は、財務省の御用学者や御用評論家でないと推定されます。
最近は、財務省の御用政治家まで登場しています。
もちろん、経済学は、10年先20年先も研究対象ですが、
今を科学するのが、経済学だと思います。
消費税と景気 2010 6
26
多くの政党で、消費税増税を主張していますが、
現在の経済情勢で、消費税を増税すれば、
基本的に、不景気となります。
これをどう説明するのか。
「景気は不景気となりますが、
社会保障と財政再建のために、増税させてください」と言うのが、
正直な政治家と言えるでしょう。
私は、以前、現状では、消費税を増税すると、
結果的には、デフレと不景気が、さらに進むと、何度か書きました。
昨日(6月25日)の朝日新聞でも、
レスター・サロー氏がインタビューの中で、こう述べています。
デフレ状態の日本で消費税増税が議論されていることについて、
「クレージーだ。
消費が減るだけで、不況を永遠に引きずることになる」と指摘しています。
これが世界の常識でしょう。
なぜ、日本の経済学者たちは、
レスター・サロー氏のような主張をしないのか。
日本では、学問の世界でも、「お上」意識が強いので、
やはり、「お上」に都合の悪いことは主張できないという雰囲気があると思います。
かつて、日本がバブル経済で絶好調の時に、
アメリカの高名な学者が、このように、つぶやいたと聞きました。
「アメリカの経済学は一流なのに、アメリカ経済は二流。
日本の経済学は二流なのに、日本経済は一流。
何でだろう」
若い時には反骨精神があっても、
年を取れば政府から勲章がほしくなる。
あるいは、日銀の審議委員になりたい。
勲章をもらいたい時、あるいは審議委員になりたい時は、
まず、「お上」の「お抱え学者」になる必要があります。